長谷川式スケール

先日、個人宅にお一人で住んでおられるおばあちゃんの長谷川式スケールを調べさせてもらいました。長谷川式スケールは認知機能を評価する手段の一つで、30点満点中14点、みたいに数値化してその方の認知機能を客観にとらえることができる優れた検査です。

おばあちゃんはとても素直で穏やかで、礼節もしっかりしている方ですが、ちょっと耳が遠い。

一つ目の質問、『お年はおいくつですか?』 『92歳』。

二つ目の質問、『今日は何年何月何日ですか?』 壁に掛かっているカレンダーをこっそり見ながら、『1月の6日、金曜日』

そして三つ目の質問、今自分のいる場所がしっかり認知出来ているかどうかを調べます。

『ここはどこですか?』 『えっ?』 『こ、こ、は、どこですか?』 『えっ?』

私はしっかり聞こえるようにおばあちゃんの左横に移動して、右手を背中に添えて、左耳元でしっかりと聞いた。

『ここはどこですか?』 『背中』

長谷川式スケールを実施しているといろいろたのしい答えが返ってきますが、これは最高でした(^_^)

(たのしいというのは、楽しんでるとか馬鹿にしているとかではなく、患者さんの思いがけない一生懸命の発想に感嘆している感じです(^_^))

長谷川式スケールを開発したのは長谷川和夫先生です。ご自身が認知症を発症し、最近亡くなられました。本当に残念です。私は講演をリアルで聴かせていただいたことがありますが、常に患者さん本位でお話しされる本当に素晴らしい先生でした。お話ししながら浮かべる笑みも最高に魅力的でした。

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