中央ローンの秘密

先日講演会で久しぶりに北大へ行ってきた。
仕事の関係で参加が遅くなり、聞きたかったパートはすでに終了していたし、暑さも和らぎ快適な天気だったので早めに会場を抜けて^^;北大構内を散策した。北大は私が18歳からの青春を謳歌したところだ。

本当にたまにしか訪れないので随分様変わりしてビックリしたけれど、歩いているうちに昔のことが次々に脳裏に浮かび不思議な気分のままついに中央ローンについた。

中央ローンは芝が綺麗に緑の絨毯をなし、大きく成長した木々が心地よい木陰を作り、中ほどにはサクシュコトニ川という小川まである。昼はまさしく家族の憩いの場で、沢山の子供たちが川や芝生の上ではしゃいでいる。寄り添い座り語り合う若いカップルもいる。

不思議な気分でそんな様子をぼんやり見ていた私は急に激しい眩暈に襲われ目を閉じた。程なく落ち着いてきたのでうっすら目を開けると アレ?夜になっている。それに騒がしい。でも子供たちのはしゃぎ声じゃないな。若者の嬌声と歌声だ。輪になってスクラム組んで歌ってる。辺りには空の一升瓶が何本も転がっている。今時元気な奴らだなあ。でもやけに垢抜けない野郎どもだ。なんだ、歌は都ぞ弥生じゃないか。私の口からも淀みなく歌詞が出てくる。あっ少し女子もいるよ。なんかみんな見覚えあるような…。トイレ行ってくると輪を離れた奴、ああこいつ確か親友の桂だ。サクシュコトニ川に向かって放尿してる。あぁ、長髪で黒ぶちのメガネかけて、つっかけ履いて、ガリガリに痩せて、酔っぱらって目がいっちゃってるあいつ、あれは私だ。
あぁ、輪をちょっと離れた芝の上で真っ青な顔でオェオェってはじめたよ~_~;
よくみると川は入れ替わり立ち代り利用(?)されてるし、芝生のあちこちにうずくまってるやつがいる。

もう一度自分に目をやる。オイオイ、飲み過ぎだろう。このままいくとあしたの朝には裸足で教養棟の教室の教壇の上に何故か布団をひいて寝ている状態で目覚めることになるよ。
注意しようと思ったその瞬間、またさっきの眩暈がきた。思わず目を閉じる…。
恐る恐る目を開けると、あれ?昼に戻ってる。慌てて私がうずくまっていた所を見るとカップルが座ろうとしている。あぁ、そこは……~_~;
北大中央ローンの芝生は豊かな滋養を得てふかふかの緑をなし、川はひたすら淀みなく流れ清涼を誘っているのだった。

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